なにかを映す

わたしが地元でもっともおすすめする場所に「トミオカホワイト美術館」があります

展示室はひとつだけで、企画展と常設展がおなじ室内に向き合うように展示されています


ほかには物販と喫茶店があるばかりなので、つまらないというひともおおいですが、おそらくそれで健全なのかもしれません。地元にコンプレックスのあるひとにとっては、さまざまなおもいがよぎって忙しいはずだからです





わたしは「大地の芸術祭」のことをしってから、日本海側と太平洋側の格差を意識せざるを得なくなりました


北川ディレクターのいう通り、日本海側は国づくりにおいていつも後回しにされてきました
そう気づいてみると、太平洋側の土地、名古屋での生活はおかしなことばかりで、屈辱的なこともなん度もあったといえます

そのうえ、決定的なことが起きてしまいました。極めてプライベートなことですが…わたしは大阪出身の奈良県の大学教授に、結婚したいといわれていたものの、彼は結局一度も、魚沼に挨拶に来てくれることはなかったんです




そんななかはじめて冬を迎えたある日、トミオカホワイト美術館に行ってみようとおもいました。とくに理由はありません。わたしは博物館や美術館通いが趣味で、勉強しかやることがなかったというべきかも
そこで見た作品は、誠心誠意、雪に向き合ったものでした
そうとしか表現できないほど純粋でした

歴史的に魚沼を外界から遮断し、開発をおおきく遅らせた、あの雪を、画家はこのように語っています。展示室の導線における最初のキャプションです





「私の「白の世界」とは、私の雪国に対する望郷の念がベースにあって、雪国の旅、巡礼を通して、白の不思議な美を発見し表現することでした。
私は雪深い越後に生まれ育ちました。」






たったこれだけの文章が、しかし染み入りました
わたしは、関西のひとの悪口をいいたいわけではないんです。でも本音をいうと日本を、あの男を許すことはできません。いままで、この魚沼がどんな土地なのかに気づかないまま、関西の人間と付き合うなどとかんがえてしまったじぶんを呪う気持に、終止符は打てていません

それでも、雪にひたすら向き合った、静かな作品を見ていると、ちがう気持にもなってきます


魚沼をすきになってもいいのだろうか

そんな気持が、ふきのとうのようにちいさく、芽生えているのかもしれません





この美術館について、メディアは「ひび割れにくく、いつまでも白い顔料トミオカホワイトを開発した富岡惣一郎の作品を展示する美術館」とばかり紹介するので、入場客は、白い、白い、としか感想をいわないような気がします
けれどすなおなひとであれば、この絵画群がただの白い寂しい絵ではなく、もっとちがった雄弁さを感じることもできるとおもいます



雪はひとを殺します
地元を外界から隔離してしまいもします
それでも、親しみある懐かしいものです。雪なしではいられません
そんな複雑なおもいが、豪雪地帯に生まれたことのないひとびとにも、伝わるんじゃないかとおもいます

そしてそれだけではなく、見るものの人生をも映し出すのではないでしょうか

http://www.6bun.jp/white/
魚沼にスキーに来たなら、トミオカホワイト美術館にもぜひどうぞ