白馬の王子を殺す







『NARUTO』の五影會談篇で、サクラが犯罪を重ねるサスケを殺すと極め、鉄の國に向かったところを視聴したのですが、岸影樣は男性なのに、女性が白馬の王子を殺す爲に生まれたと、何故知っているのでしょうか?
男性はより夛くの人々の役に立って、必要とされようとし、女性はむしろ誰にも認められなくて良いと、関係を斷ち切らなければいけません。男性はモテるよう、女性は振ることができるように努力するとも云えます。此れを認めると、岸影樣も運命の女性に、収入で釣ろうとして振られて了っても仕方無いことに爲るというのに、だからこそサクラの決意には感銘を受けました。




https://www.pixiv.net/artworks/123740524




上記の漫畫の1話は、今年のヴァレンタインデーに投稿したものの修正です。當初、私はるろの人口の無さを知って居たので、誰にも讀まれないだろうと氣輕に投稿しました。
元々、腐女子の繪で刃衛を描いてもいいんだ、と云う發想を呉れた神がいて、ヴァレンタイン漫畫はその三次創作の樣なものでした。然し神はもうるろにはいないだろう、若しかしたら支部で刃衛を検索することすらないかも知れない、と私は思い込み、歴史上の人物に宛てたくらいのつもりでいたのに、その日のうちに本人からコメントがあり、人生の最高の日となったのです。

るろには公式に『銀幕草子変』と云う小説があるのですが、戰闘が性行爲のように暗喩されていて、刃衛が鳥羽伏見の戰いで抜刀斎に開けられた両手の穴を大切な想い出としており、初體驗が忘れられないかの樣に剣心を狙います。
やりとりしながら分かったのですが、神は其の小説で刃衛の解釈を深め、斬られる愉悦と、誰にでも掘られる快樂とを重ねる刃衛を考えついたそうです。私が隊の風紀を亂す刃衛について、『前髪の惣三郎』を讀んだのかと訊くと、神は『御法度!』すら未履修だと云うので、余計に感心しました。
私が斎刃を描いたのは、斬り合いと性行爲を同一視する刃衛が、强者を好むので、斎藤にも抱かれたいと考えている神の設定を、そのまま借りたものです。

互いの作品のこと、刃衛のこと、ノイタミナのアニメのこと等話題は尽きず、怒涛のやりとりをしましたが、お互い東西に活動拠點は可成り離れ、また昔から私の嫁は刃衛ではなく觀柳であること等から、距離を感じていました。
リアルでの神自身は元々、ガチャ目かロンパリであるらしく、NARUTOにいた頃は、鬼鮫と云う目が畸型のキャラクターに自己投影し、イタチと云う絶世の美男に何故か溺愛され、一生養われると云う、最低の物語を創作していました。そしてるろでは、渋海と刃衛が本氣で付き合っているという設定で自身を洗脳し切ったのです。あの、抜刀斎に一途で、獨り孤高に生きる刃衛は、私から永遠に奪われました。
神の最近の創作では、渋海と云うパトロンに刃衛は何もかも購って貰って居ます。何と、孤高の刃衛のシンボルである、黑笠のコーディネート迄、渋海が提案したと云うのです。

もう7、8年前の話、實際にマッチングアプリでパトロンに圍まれ、誰にでも體を許していた私にとって、神をフォローしていることは辛いこと許りでした。
世の中一般にあるフィクションの物語ではよく、最も信頼していた者が黑幕だったというのがお決まりで、然し我々はそれに慣れ親しみながらも、自分丈は違うと極め込んでいます。神経發達症で利己的で、いつも殺氣に狂う許りだった兩親の家を出たあの時、両親が如何に性慾の塊で、女子供や動物に主體性を認めないか、マッチングアプリをきっぱり止める爲にも全部打ち撒けた日、私は白馬の王子を殺すと云う、女の最大の任務を果たしたのです。
なのに、神は嘗てパトロンに寄生していた私の立場に、却って憧れている樣なものではありませんか。

象徴的なことがありました。神がスペースで『そばかす』を渋刃に擬えて語っていたのですが、何故か「あの人の笑顔も思い出せないの」の部分から、悲戀の歌だと勘違いしていたことです。そばかすは「ヘヴィー級」と云うネガティヴな表現から分かるように、明らかに「下らない男と別れた」と云う失戀の歌です。せいせいしたとまでは感じられませんが、ロマンスでは腹の足しにもならず、性慾よりも蛙ちゃんや兎ちゃんのほうがずっと良かった、と氣づくことができたと云う内容なのです。私は神が歳老いたことで、唯の發情した寂しいおばさんとなり、運命の相手と云うものの魅力に抵抗できず、そばかすを曲解したのだと悟りました。

先週、25日に「るろ敵Webオンリー」がピクリエで開催され、若い頃の神の残骸にお賽銭する意味で、同人誌を購入しました。これまで作品を見せて呉れた感謝を表す爲、記念の繪も送信しました。私の支部にある、マトリョシカパロがそれです。本の1話めは明治の渋刃でしたが、2話めは幕末のモブ刃でした。私が描いた、和室で白い寝巻きを着て眠る刃衛がそのまま出てきて、勿論光栄でしたが、何故私ではなく渋海が選ばれたのか、と改めて悲しくならざるを得ません。抜刀斎に一途だった頃よりも、顏が長くなって、繪が下手に爲っており、これは歳を取った腐女子あるあるです。厚塗りで白人の樣な顏を描く私を意識して、繪が巧くなろうと氣負った所爲かも知れないので、矢張り餘り良くない關係だったのでしょう。
2話めの後半で、刃衛は終に關係のあった隊士を斬り殺してしまい、その時別の情人に「共に来るか!?」と訊ねたとき、首を横に振られました。その時の寂しく自嘲した微笑みに、私が何故神の創作に惹かれたのか、そして何故刃衛は誰とも想いを遂げてほしくなかったのか、それら全部が表れていたのです。