小人の国

わたしは独り暮らししていたとき、個人経営のちいさな雑貨屋や、アンティーク店、だれもいないカフェなどに、ふらりと立ち寄るのをオシャレとおもっていました

それらが純粋にすき、というよりは、幸せがここではないどこかにあると、甘えていたのです。そしてなん度かお店側を困惑させてしまったのを覚えています






どんなことがあったかというと、まず人気(ひとけ)のないお店では店主が出てきません
物音にびっくりした店主に、泥棒が来たかのように警戒されてしまいました


そしてなん十年も売れ残っていたであろうホコリをかぶった商品を買おうとしてしまい、ひねくれ者だったとおもいます。店主にホコリを除去する手間をかけましたし、彼はそんな商品を買われて苦情をいわれるのではないかと、縮こまってしまいました


また、そのお店の通路が狭い場合、客の鞄の揺れが商品にとって危険なものになります。店主は高価な商品を守ろうと、慌ててわたしの鞄を取り上げ、「狭くて申し訳ありません」というので、わたしはかえって罪悪感を覚えました


そして飲食店のことなのですが、寂れた喫茶店は極めて高齢の方がひとりで経営している場合があります。ふつう客はあまり席を立ってはいけないとおもいますが、その店主は明らかに足がわるくて、常連客などはじぶんで料理を運んでいました。わたしも初めからそうすればよかったと、つよく反省しました


以上はどれも日本人のお店でしたが、入りづらいエスニック料理店では、そもそも日本人の来店が不審におもわれることもあります。そのお店が、店主の身内の外国人の客室と化しており、彼らの荷物やゴミで席が埋まっていることがあったのです




どれも些細なできごとであり、もしこれが大型チェーン店だったなら、わたしに直さなければいけないところなどないのでしょう。でも、個人経営のちいさなお店で場違いな存在と認定されるとやはり傷つくので、ここで「隠れ家」へ行く際の注意点をまとめてみたいとおもいます









❒服装や行動を常連客に合わせる

❒観光客を連れて行かない

❒静かな狭い場所には、3人以上で賑やかに来店するのを避ける

❒もしネット通販があればなるべくそこで済ませる

❒電車とおなじく、鞄は肩に掛けずに手に持つ

❒インクが出なさそうなペンや、ホコリをかぶった商品などを買おうとしない

❒店主が非常に高齢であるときなど、不自由があることがわかれば助ける

❒エスニック料理店は、ほかに日本人が見あたらなければ入らない
















そのほか、お店の雰囲気や商品の状態から発せられるメッセージを素直に汲み取っていれば大丈夫だとおもいます

わたしは当時、多分10代、若しくは成人したての頃でしたから、相手には子どもが来てくれただけでうれしいという空気がまだあって、特に咎められませんでした。でも23歳くらい以上になると、露骨に出ていけといわれてしまうこともあって、今後は油断できません




よく、旅先では観光ガイドにない場所に行けといいますが、もう子どもとして歓迎されないわたしとしては、観光客向けではない店での迷惑行為はやめなよ、といいたいです
色々な経験をしよう、というのを、お店側からすると「冷やかし」というのです
チェーン店にばかり行き慣れたわたしたちをガリバーに例えると、ガイドに載らない寂れたお店は小人の国です。そこで店主によそよそしくされると、かえって自信を失い、罪悪感でいっぱいになること必至です