ある繪師のプロフィールに、聞いたことの無い地雷がありました。それは、ひとつの組織のなかで自身が贔屓して描くカプ丈でなく、ほかの仲間も都合良く夫々カプにすることだそうです。
例えば、〈暗殺チーム〉のなかでリゾプロ、ギアメロ、ホルイル、ソルジェラは定番であり、このように、カプが偶数人の組織内で綺麗に納まることはよくあることなので、何故地雷なの乎直ぐには飲み込めませんでした。
然し『東京卍リベンジャーズ』の二次創作で、副隊長會と云うものを捏造している繪師を見かけ、氣持ちが惡かったので、初めてわたくしもその地雷の當事者となりました。隊長達の幹部會議であれば、マイキーを慕う者が自身の意思で輯まっていることが傅わります。然し副隊長は各々の隊長に惚れ込んで着いてきたのであり、副隊長同士は他人です。
それをくっつけることは、飲食店の店主がカウンターの客同士を話させることに似ています。この店から人の輪を繋げたい等と宣いますが、店主はモテる己を演出したいのです。水商賣のスナックのように完全におしゃべりするだけの店ならまだしも、美味しい料理に輯まった客は副隊長と同じ他人です。
こんなこともありました。以前、腐女子でもないのにわたくしにしつこく付き纏っていた女に彼氏ができたとき、女は彼氏と手を繋ぎながら、反對の手でわたくしとも手を繋ごうとする、と云うセクハラをしてきたことがあるので、わたくしには店主の目論見がわかるのです。
キャラクター自身が勝手に動く創作のやり方ではなく、作者の手駒として都合良く動かされていれば、その創作は受け手にとって不快であるものです。人権的に〈物〉扱いとよぶのは生々しいので、ハイデガーのオントロギッシュと云う概念を推します。暗殺チームなら、リゾプロとホルイル以外原作で絡みがあるのでまだましですが、副隊長會は末っ子同盟以外絡みがないので、一括りにするのはオントロギッシュと表現できます。
話が飛びまくってすみませんが、男性がイケメンを、女性が美人を嫌うことがあるのが本當に嫉妬なのか、について書きます。
筆者はコミッションで『少女レイ』のパロディを頼まれた時、百合を地雷として断ったことがありました。BLにはハゲやデブ、ブスが有り得ますが、百合は美女しかいないので、界隈に人の心と云うものが欠如していると考えたからです。然しその後ウテナを観て、キャラクターが勝手に動くオーンティッシェンであるなら、美女同士の百合も苦手ではないと感じました。筆者が嫌だったのは、みきとPやファンと云うオーンティッシェンに對し、歌われている百合カップルがオントロギッシュだと感じたからでした。
イケメンや美人は、それを見る者がオーンティッシェンであり、イケメンや美人自身はオントロギッシュなのです。自ら主體性の認められていない立場になろうとするイケメンや美人への怒りは、羨望や嫉妬とは異なります。そして、他者の主體性を認めないからキャラ萌えのオタクはキモがられるのです。