シニフィアン
シニフィアンとは、記號の音やかたちのことなので、詰まり一般に云う「記號」のことでしょう。
漫畫のセリフ、冷や汗、集中線等のほか、人物や背景等全部の表現も、記號なので認識が可能と爲っている、と云うのが記號論の發想です。デフォルメと似た使い方ができます。文化は慣れだと云いますが、これは記號と云う偏見を學ぶことでしょう。
記號論には人生哲學としての主義主張と云う性質はなく、ただ夛様な信念をもつ人々が美術のことを話すとき、シニフィアンと云う語だけを特に他意なく用いるのです。シニフィエ
シニフィエとは、シニフィアンの指す意味のことです。
シニフィアンとシニフィエを合わせてシーニュ:Sign と云うこともあるのですが、殆ど「シニフィアン」のみ使われます。シニフィアンとシニフィエは、何方が何方か譯がわからなくなるのですが、『TH叢書』等で「シニフィアン」のみ頻出するのを何度か目撃すれば、憶えることが出来ました。
アイコン
アイコン:icon は、シニフィアンとシニフィエが似ている表現で、例えば証明寫眞の樣な物です。轉じて、日本人はプロフィール畫像や、代表的人物、繪文字等を「アイコン」と呼びます。元は祭壇にある聖人を描いた板繪が「イコン」と呼ばれていました。
シンボル
シンボル:symbol は、シニフィアンとシニフィエが似ていない表現で、例えば有毒性を表す髑髏マークの樣な物です。「象徴」と譯します。それに對應してアイコンを「類像」と譯す本も見かけたのですが、この語は殆ど使いません。
レトリック
反語や比喩等で文章において言葉の云い方を整えること全般を、レトリック:rhetoric と云い、「修辞法」と譯します。比喩には、背が高いことを「天を衝く」と云う誇張、政界を「永田町」と呼ぶ換喩、シナリオを「本」と呼ぶ提喩等があります。
メタファー
メタファー:metaphorは、「まるで」「〜のようだ」と云う樣な表現をしない比喩で、「暗喩」と譯します。例えば、ネット用語の人間離れした技術を見せつける者を指す「神」等のことです。逆に「〜のようだ」とはっきり云うのはシミリーといい、「直喩」と譯します。
アレゴリー
複数のメタファーの相互関係で意味を理解させる表現をアレゴリー:allegory と云い、「寓意」と譯します。例えばアイソーポスは、ある性格、地位、職業という抽象的なものを動物達で具體化しているので、アレゴリカルです。アレゴリーが物語として進行すれば寓話と云うことになります。