ファンタジー

「創作」ということばには「独自の世界観」というような意味がついて回る気がします

しかし、世界観を売りにするのは、ジャンルでいえばファンタジーということになります
創作とは、つまりファンタジーのことだったのでしょうか?

















というのも、文学賞の審査員のコメントに「だれにも思いつかない世界観の作品を待っています」というようなことばを目にすることがあり、表向きファンタジーの賞ではないにもかかわらず、実質ではファンタジー作品しか受賞しないのか、と気づいてしまうからです


ひとつ例を挙げると、2015年まで開催していた「ショートストーリーなごや」という賞がありました

https://www.bunka758.or.jp/id_shortstory.html
その第9回は佳作がふたつ、大賞がひとつでしたが、3作品のうちふたつがファンタジーでした
名古屋城のお堀にUMAが棲息するという「エヌ!」、そして名古屋駅のコンコースがいつまで歩いても終わらないという「無限回廊コンコース」です


このように、ファンタジーの賞ではないのに、受賞作がほとんどファンタジーで占められているような文学賞はほかにもあるのではないでしょうか






確かに、ごくふつうの登場人物のいるふつうの世界観に、不思議な世界観が混じっているような作品はとても面白いです
それが流行すること自体が悪いことのわけはありません

しかし、そうした作品に魔法や妖怪などが登場しないというだけのことで、「ファンタジー」ではないかのように語られることは、誤解だといわざるをえません
あまりに自然に、世間の創作全般にファンタジーが溶け込んでいるので自覚しづらいですが、わたしたちは「創作の腕前は、だれにも思いつかない世界観や設定を表現することにある」と決めつけがちなのではないか、と感じました