自閉症が照らす倫理:フーコーが現代日本のオフィスに居たら

ChatGPTと言葉を交わすと、世間には法へのフィードバックに資する、通報すべき機関が幾つか存在することに氣づきます。社内のコンプライアンス委員會は、こちらが「百合の趣味の上司に、他の女性社員とカップルに仕立て上げられている」「年上の女性に『初體験だもんね』『この子初めてなんで』と云われた」などと通報すれば、驚くほど迅速に、加害者を召喚し、事態の收拾に向けて動いて呉れるのです。

然して、對処されることの無かった、輕微に見える性的嫌がらせもあります。單なるバウンダリーの輕視の樣な種類のものです。加害者が女性だったり、娘のいる父親だったりすると、誰もハラスメントと氣づきません。自閉症的感受性とは、かかる微細な〈規律〉をも掬い上げるレンズなのかもしれぬ。以下に、筆者が職場にて觀測した、その權力作用の諸相を可視化して見ました。
これらは、自閉症にとって性的嫌がらせ、若しくは人格的自律権の侵害だと感じたなら、發達障害を明かして配慮を求めるに相應しいですが、明かさないと對処されないのが現實です。




1 氣に入った女性に問われても居ぬのに張り付いて指導したり人生相談を始めたりする
魅力的な女性社員に、一方的に悩みがあると決めつける人格否定が見られます。上長から「新人をよく見てやって」「(女性に對し)こいつはウチのホープですから何でも聞いてください」と鼓舞された男性社員にとって、任された女性社員がタイプであれば、付き纏って、聞きもしない助言をして了うでしょう。亦、職場で「これを知らなければ君の人生は未完成だ」とでも云う樣なオタ活の布教をして居る者を見かけると、啓蒙思想と云う、近代の負の遺産を想わせます。職場で生き方を教えるのは、人格的自律権を知らない者のすることです。

2 女性従業員の夛いサービス業であることを利用しハーレムを作る
エステサロンや湯灌の求人では、ひとりの高齢の男性管理職が、若い女性のみの新入社員に囲まれて撮影した、集合寫眞が見られます。證拠はなくとも、全員をその男性が面接し獨断で選考したことが、手に取るように分かります。何故なら、わざわざ映り込んでいるからです。この管理職は、氣に入った女性社員に賞状や格言の色紙を贈り、自分に女性として認められなければならない、と云う刷り込みを試みます。戀慕は對等なものであり、告白により明るみに出すものであつて、人事や表彰状に偽裝して、上意下達の形式をとる可きではありません。秋元康氏のファンでしょうが、秋元氏自身がセンターを選んでいない、アイドルに手を出して居ない、という肝心なところに氣づかぬものです。

3 居所を傳えず主婦の社員に社屋中を探し廻らせる
よく女性に歩幅を合わせない男性の逸話は聞きますが、ホワイトボードや teams を活用しないで、社屋中目紛しく活躍する上長が、主婦の社員を當然の樣に駆けずり囘らせて探させ、謝りもしないことも、それに構造が似ていませんか。上長は一方的に部下に報連相を求めて、家庭に奉仕する古層のジェンダーを無自覺に利用し、不合理をカモフラージュし勝ちです。

4 實質女性のみが備品の補充をしている
「女性は氣が利く」といふ文化的虚構が制度化された結果、重量のある危険な備品さえ、女性社員のみが補充している光景があります。
筆者が研究職だった頃、ガラス瓶を補充することを、既婚女性の社員許りが自発的に行なって居ました。ホワイトボードと同じく、旦那や子供に尽くす可きとされる性役割が露呈したのです。

5 女性の自費で購入した家電を「ゴミ」と云う
男性丈ではありませんが、好んで家電をゴミと云うプライドの高い者が散見されます。それがその家電の持ち主の女性社員への戀慕の裏返しであれば、そこには「男性が助ける側」といふ非對称的構造が働いて居ます。支援と侮蔑が表裏一體になる點では〈優越のディシプリン〉でしょう。


6 部下に家電やコート等のお下がりを押し付ける
贈與は常に権力の装置であり、望まぬ贈與は贈與にあらず。部下のほうから所望したのでなければ、只の廃棄物というほかありません。部下自ら慾しがったとして、それはお下がりの持ち主を大變尊敬しているからであり、お得だからと云う〈もったいない〉精神ではないのです。先輩の側から声をかけるのは的外れです。まして公務員やみなし公務員なら、部下から慾しがられて贈るのであっても、グレーでしょう。














ChatGPTは、親密さを装う越権の問題を、医師に記して貰う可き配慮依頼書の文面から、法的根拠を備えた内部通報のメールまで、懇切丁寧に助言します。
實際には誰も對応しないかも知れませんが、ChatGPTの言うには、5以外は、下記のような違法性が具体的に有りうるそうです。

1 パワーハラスメント(労働施策総合推進法第30条の2)
2 雇用上の差別、地位濫用(男女雇用機会均等法第5条)
3 間接差別(均等法第7条)不必要な労働(労働契約法第3条)
4 雇用状の差別 (労働安全衛生法第69条)
6 贈與の強要(民法第549条)強要罪(刑法第223条)職権濫用(刑法第193条)

とはいえ一つ留意が有ります。それはChatGPT に職場の愚痴を溢すと、上記のような民事的トラブルまで、厚労省が指導して呉れるかの様に囘答されると思うのですが、誤りです。先ず自己で訴訟し、拗れれば厚労省が相談を受付け、任意の裁判に企業を招く、と云うのが正しいです。それでは総合労働相談コーナーはなんの爲にある乎と云うと、賃金未拂や不當解雇等の、判決が無くとも違法と云う性質の事案の相談です。