客層

動画背景では、上半身全体が影で見えなくなっているもの（フラジール）、目をつぶっているもの（乙女解剖）、被り物をしているもの（ロキ）など、人物の目がよく見えていないことがけっこうあります

わたしの感性もこちら側にあって、よく動画のパロディで模写をしたりします
まるで音楽における耳コピの、イラスト版です。複雑に入り乱れた色からレイヤー分けを推理して再現するのはとても楽しい遊びです



また、顔がよく見えていないイラストのやり方で、購入者に納品することもおおいです
「こちらからの、たったあれだけの指示でこんなすごい発想が出てくるなんて、予想しなかった」と、うれしい驚きを感じてもらうことができています

（というか、顔をぼかしたり切り取ってしまうこともしばしばです。もちろんじぶんの落書きだけのことで、取引ではやりませんが）









しかしながら、おなじやり方を、「わざわざ人物の顔を見えなくするなんて非常識だ」と受けとるひともいます



すなわち、動画の流行とは逆に、絶対に人物の顔が見えないといけないとされることがおおいラノベ表紙の依頼では、満足していただけないことがある、ということです


さらにわるいことには、出版業界を経験したことがあるひとは、レーターに依頼するのが当然という意識なので、予算がほかのオタクよりも高額です
高額な取引に見合うように、こちらが動画背景のようなおしゃれなポイントを盛り込んでいけばいくほど、相手は不機嫌になってゆきます
相手が決して望んでいないような、顔が見えなかったり、瞳が読者に向けられていなかったりする、意味深な構図になっていくからです





世の中、いかなる仕事も断らないひとが、プロ根性があってかっこいいといわれることもありますが、わたしはその、ふだんはなかなかないラノベの案件に出会ったことで、客層を限定すること、もしくはどんな層のひとか見抜くことは非常に重要だと、改めておもいました