〈自由〉について知っている者は、數えるほどしかいません。著作権を認められた藝術家、ユーモアや粋を旨とする藝人、實力主義で性別や国籍を問わない職人、各家庭や個人に手出しできない公務員、メーカーの研究開発部の正社員、一番上の子が男の子である親等、正解が無限にあることを知る者のことです。それ以外の大多數は、たったひとつの物差しの上で無益に競い、其の物差しにおいて自身より低いと看做した相手を憎悪し、根拠の無い感情から勤務しています。例えば強烈な正義感に支配された品質保証部に、「勉強をすると良い子にはならない」「法律は正義ではない」と教えても、なんのことか理解できないでしょう。
勉強をすると自由な子になります。義務教育は確かに義務でも、勉強すると親や教員よりも目が開かれ、容易に流されない樣になって了うかもしれないという本質は、大學と變わりありません。だから大人の言うことを聞く良い子ではないのです。間違った知識でものごとを語る人間には自由がないということになるので、まずは勉強が強制される必要があったわけです。
法律家が法の正義というものを語って居ても、それは全員の権利を守ることです。誰かを物差しの下位として裁くような、人種差別の正義ではなく、かえって正しいばかりで面白くなかった者や、他者の自由及び権利を守れなかった者が裁かれます。
ここからはいつものどうでもいい内容です。稀咲鉄太が芭流覇羅に入っている捏造設定のことです。
暁や暗殺チームの構成員が一緒に住んでいたり、全員集まって行動していたりする設定の樣に、公式までそれに釣られて了うほど、定番となる捏造設定があります。稀咲を東卍ではなく芭流覇羅の構成員として勘違いし、それを定番化したのはマリオンクレープのコラボと腐女子何方が先か、いまとなっては誰にも判らないことです。
『東京卍リベンジャーズ』のフレグランスを購おうとしたら、稀咲イメージのフレグランスの瓶のラベルが東京卍會の旗印で戸惑ったことがありました。どう見てもマイキーのグッズでしかなかったのです。暗はマイキーのことは勿論好きですが、稀咲のキャラ萌えとして鑑賞しているに過ぎないので、魂を東卍に捧げているということでもありません。残念でしたが、稀咲の瓶が芭流覇羅のラベルではなかったのは、公式が原作の物語に準拠したということです。
物語を思い出しましょう。愛美愛主総長、長内は中学生を目の敵にし、侮蔑の態度を取りがちだったので、内部は高校生と中学生で分裂状態となっていました。長内が東卍の関係者をリンチした事件を契機に、遂に中学生は離反し、稀咲は同じく中学生である東卍総長マイキーに、傘下になりたいと申し出ました。長内はリンチの報復を受け引退し愛美愛主は解體、残された高校生達は半間を主犯として、反東卍勢力を吸収し、芭流覇羅という新しいチームとなりました。然しこれは表向きの筋書きで、主人公が引退した長内に事情を聴いたところ、實はリンチは長内の指示ではなく、東卍に愛美愛主を吸収させ大きくする爲に稀咲が仕組んだことだったのです。半間も稀咲の手駒のひとりであり、抗争を起こして芭流覇羅を東卍に吸収させる計畫でした。稀咲は東卍幹部になったあと、他の幹部や家族等マイキーの大切な存在をひとりひとり殺害し、マイキーを抜け殻にしようと暗躍します。
マリオンクレープのコラボは、公式に稀咲のアンチがいて東卍から稀咲を追い出したかった表れでしょうか、それとも稀咲のオタクがいて半間という数尠ないツレと同じチームにしてあげたかったのでしょうか。
暗も稀半及び半稀派ですが、原作では半間は稀咲の實行役であり、コンビというより分身だったいうことは冷静に憶えています。抑も原作を応援したくて二次創作するわけなので、尊重しないはずがありません。どのジャンルでも公式が腐女子に媚びたコンビ投票がありがちですが、ぱずりべのアンケートに囘答したとき、筆者は稀半ではなく、ぺーやんとぱーちんにチェックを入れました。不斷、性教育も受けていない、エロ漫画も描く才能のない男性から、「あどけなく清純な女に知らない快感を教えてやる」と差別されている者にとって、公式がゲイではないとしている男キャラ同士だからこそそのふたりを目覚めさせ度いのであり、稀半を公式にコンビ扱いされても特に嬉しくないからです。
半間の心は稀咲にあり、稀咲の心はマイキー、そして主人公にあるのに、二次創作では稀咲が東卍を悪く云って、敵對しているかのような作品さえ見られます。原作の稀咲は顏貌だけとはいえマイキーを愛していて、卍の剃り込みをしたり卍のネックレスを着けたりしていました。マイキーの下に就く爲に、現代でも東卍幹部であり続けているのですから、マイキーを見下す捏造は二次創作を面白くする爲の表現としてやったことではなく、單なる天然の間違いではないでしょうか。
芭流覇羅の特攻服はスタイリッシュで稀咲にも似合うので最高ですが、繪師の方が半間の隣に居たのは一虎であることをすっかり忘れ、また稀咲が東卍を潰そうとしていたなどと考えているのなら、それは記憶違いです。