カトリツクになるなら、ひとつだけ、約束してほしいことがあるの。
この地上には、クリスチヤンと猶太人、白人と有色人種、男と女、美しいひとと醜いひと、善人と惡人がいるのではなく、〈そのひと〉がいるの。それを忘れないでいて頂戴。
ひとりひとりがいるの。
それを忘れないでいるには、面白くあろうとすればヒントになるのよ。
主の周圍に病人や娼婦が取り巻いて居たのは有名ね。そして戒律を守つて清く正しくあろうとする猶太教から、使徒たちは分派したけれど、現代のクリスチヤンは猶太人を差別することで、また清く正しくあろうとしてしまうの。抑、主が猶太人だと忘れてしまうのは、わたくしたちが米國に属しているからかも知れないわね。ナチスの迫害も、日本の優生法も、みな亜米利加を見倣つてやつたのよ。つい人種的に穢らわしいか何うかでものごとを捉えてしまうの。〈正しい〉よりも、〈思いやり〉とか〈優しさ〉とかを思い出すには、面白くあろうとしたほうがよいわ。
不倫した俳優や、コカインをやつたミユージシヤンを大袈裟に忌避するひとたちに、張り合わないで。そのひとたちは「神のしもべ」という言い方をしない偽物だからよ。そしてあなたが犬や子どものように低くあれば、主を笑わせることができるわ。
将来はクリスチヤンと結婚したいんでしよう。わたくし自身差別するようだけれど、クリスチヤンの男性は女性に上から目線で「引く」と言いたがるものよ。あなたを聖母と決めつけて、あなた自身として見ていないから。だけどさつき言つた通り、「クリスチヤンの男性」がいるというよりは、ひとりひとりがいるのだから、なかには、あなたを人間だと思うひとも確かに居る。あなたを性的に見ていない男性だけを信じて。愛を告白されたら、その純粋な男性が、惡魔に魅入られていると思えるくらいの氣概が必要になるわ。あなたが断ることでそのひとは解放されるのよ。
どうしてひとを好きになるのを惡魔つきなんて酷いことを言うかというとね、マツチングアプリや婚活では、初めからあなたを女と思つて居るひとしかいないからよ。真剣な關係、というのは、お互い男女差別しているというのを、都合よく言い換えているだけ。
出逢い目的の場所でも、出逢いは忘れるのがマナーなの。これは會社員としての営業や交流会にも云えることだわ。頑張つて婚活するのは相手を男と思つているのよ。そして頑張つて営業してしまうと、相手をお金と思うことになるの。意中の男性、利益のことはそつちのけに、無慾にお喋りやゲームに取り組まなければだめ。わたくしはいま、「まずは軽く趣味の話から」と言つている譯じやないの。結婚後でさえ趣味に終始しなければいけないと言いたいの。
だから、ふたりではなく大勢で會うようにして。デートよりコンパのほうがずつといいわ。そこで男性が同性を怖がらず楽しそうにして居るかどうか、そして全員に分け隔てなくして居るどうかを見るの。
あなたは白人ではなくて、クリスチヤンになつて。いえ、本當にわたくしが申したいことがおわかりね。あなたはあなたになるのよ。