にわか

わたしの好きな「アバウトガールズ」というチャンネルで、女装子兼ゲイであるヴィヴィアンさんが、ニューハーフであるアリスさんに「じぶんのことニューハーフだと言っちゃうひとってなんなの？」と疑問を投げかけていました。アリスさんも「わかる。女性にしか見えなかったのに、女性として扱ってねと言われたとき、女性だと思えなくなる」と頷きます

これはそのひとが、ニューハーフのバーでどれだけ経験を積んでいても、性転換手術を受けて結婚までしていても、関係がないんだろうな、とわたしは察しました。自身をわざわざ女性だと言っているうちは、ニューハーフのことをありふれたふつうのひとだと思えていないのです

さて、ここからゲイのお話ではないのですが、「にわかファン」とは、よく使われる言葉ですよね。連載当時読んでいなかった若いひと、夏休みに一時的に増える人口、記憶が間違っているひとなどがそれです

けれども腐女子の同人では意味が違ってくるかもしれない、とアバウトガールズを観た後で考えるようになりました
わたしにとって、どれだけ年齢が高くても、そのひとが自身のことを変わったひとだと思っていれば、にわかです
なぜなら、BLはセクシャリティに準ずるようなもので、変わっているかどうか、比べるものではありません。性欲やフェチというものは、みんながもっていて、それぞれくだらないのです。それなのに、変わり者ぶるのはなにもわかっていないと言えるでしょう

つまり、変わり者ぶっている、とは「わたしの好きな漫画はちょっと古くて珍しいですよね。BLという面白コンテンツもあって、わたしは彼女たちのマイナーカプにもなかなか詳しいんですよ。わかるひとにしかわかりませんが、誇るべき文化なんです」……とTLから聞こえてきそうなほどお上品なひとのことです。そうしたひとからなん度も「このわたしでも知らないカプを創作していてすごいよね。ぜひ友だちになりたいな」と冷やかされました

なんと呼べば本人に通じるかわかりませんが、わたしはその、親切で、しらないひとに優しくて、なんの荒らし行為もしていないひとをにわかと呼ぶのもどうかと思い、ひとまず「冷やかし」だとか「教養としての腐女子」などと呼んでいます

漫画がかけないので知識で変わり者ぶるしかない古参のおじさん、ホームページ制作をかじった民具サイト警察、取引垢と勘違いして感想もなしに作品をリクエストするグッズ厨、いろいろな文学や映画に挑戦するようにあらゆるマイナーカプを知りたいと思っている高層マンションの主婦、その他もろもろのにわかの皆さん、アク禁にしたりブロったりして申し訳ないです

ただ一言、「シコい」とだけ言ってくれればにわかではなくなれたのに……


BLは教養になりません。ちゃんとヌいてください