ひかりはいらね

6月頃からデートしていた、南印度出身の男性がいました。印度人といえばぼつたくりをしたり値切つたりばかりしているイメージがあるひともいるのではないかと思いますが、そのひとはあまり商賣の話をしたがらず、此方に會わせて歴史の話などをしてくれるのでした。英語も日本語も得意なようなので、よほどひとの話をよく聞くのでしょう。


しかしそんな男性でもやはり「いいひと」です。ある午前、10時にソフトクリームを奢るといつて聞かなくなり、わたくしが「昼ごはんの前ですよ」と言えば言うほど、遠慮していると思つてしつこいのでした。わたくしは楽しみにしていたタイ料理レストランでなにも食べることができず、口もききませんでした。


その後LINEや着信がありましたが、ひとはみな相手の厭がることばかりする「いいひと」だな、と思うと、返事をする氣も起きません。

何年も登録していたマツチングアプリを、すべて退會してしまいました。そのソフトクリーム事件後に、立て續けにひどい出来事があって、女性を好きな男性が嫌いであることを、眞直ぐ受け止めざるを得なくなつているのです。









 (みずをください)







その出來亊というのは、印度人と別れたわたくしが、女性向け風俗に初挑戦したことでした。

ホテルに男性セラピストを喚ぶのです。


わたくしは、わたくしよりさらに重度な發達障害の父親から性的に触られ、洗脳されながら生きてきました。首や耳をなめられずに尋常に抱きしめられたことがないので、「性感マツサージなしでハグ」というリクエストをしました。性感マツサージのお店なのに性感マツサージなし、というのはやはり無理だろうと問い合わせたところ、かえつて「もちろんできます!」と元氣がよすぎるくらい即答され、わたくしは胡散臭さを感じつつも、ホテルに向かいました。


そこでなにがあつたかは、矢張り予想通りです。

わたしがセツクスは好きではないと言えば言うほど、セラピストは乳首やクリばかり刺激してその氣にさせようとし、ただのハグなのに、それさえしてくれませんでした。


それをつぎの月経中、ホルモンの影響で怒りを抑えきれなくなつたわたくしは、お店に問い合わせました。何度も謝つたあと店主は、「セラピストは女風が初めてのお客様の心を開かせようとした」と説明しましたが、それはつまり「性感マツサージなしというリクエストは受けられない」ということなので、最初の申し込みの時から、正直にそう答えてほしかつたものです。


暗はだれかの繪を上手くしてあげられないので、他人を幸せにすることはできないとちいさいころから知っているのですが、暗以外のひとはだれでも、だれかに話しかけられると相談亊だと決めてかかるものです。どうにかしてあげたい、と自惚れます。

彼女がお腹が空いていない時にソフトクリームを奢つたり、奥さんが料理に集中して居る時ばかり触つたり、子どもが行きたい学校を貶したりと、素人の男性はひとに親切にしていればいいと思います。しかし玄人のスタツフが、勤務中に、何万円も受け取って、タクシー代やホテル代まで払わせておいて、親切にするなんて!


わたくし自身、やはりお金を積まれれば下手に描けと言われても困るので、セラピストや店主の氣持ちは非常によくわかります。職務と親切の境目、商賣人と「いいひと」の違いに關しては、興味深い問題だと感じています。



もし女性とふたりきりになつても、抱きしめるだけで終わらせてくれる玄人男性をご存知の方がいたら、ぜひご紹介ください。