樂しいことだけ

まだ會社員だつたとき、恐らく寂雷先生の職場のモデルとなつたのではないかと思われる、新宿區の醫療センターの前で工亊があり、暗はその美しいガラス張りの建物を、足場から展望していました。

出勤や退勤の途中、到る處に「Teck」というグラフイテイが在るのが見え、その文字を検索して見ました。


このブログはわかるひとには本當にわかりきつたことしか書かないのですが、アルフアベツトで短い単語が描かれていたら、それは「タグ」といい、ライターの名前だそうです。同じ文字列ですが、もう少し丸みのあるデザインのアウトラインで、その中が塗り潰されたものを「スローアツプ」といい、スローアツプと同デザインのステツカーが大量に貼つてあることもあります。ヒプマイのMVなどによく登場する、カラフルなものは「ピース」といい、多數のスプレーで時間をかけ、美しく描かれたグラフイテイです。ピースには、有名な KAWS のように自身のキヤラクターが居ることもあります。

そして、それらを描くことを「ボム」と云うそうです。

ちなみにバンクシーはステンシルを使うので、上記のどれのイメージもありませんね。


VHS MAG. のインタビューによれば、Teckさんは都内と神奈川縣を中心に活動している有名なライターで、元はスケーターだつたといいます。新宿の街を通り過ぎながらわたくしは、これだけ24時間ひとが通るところでボムするのだということに戦慄し、自分のなかでフーデイーやカーゴパンツを着ることの意味が變わつてくると予感しました。

でもなぜ公共物を汚損するのでしよう。それは、ただ樂しいことを追求しているだけで、國家への思想的挑戦ではなく、犯罪のスリルにも、迷惑を掛けることにも意味はない、と Teck さんは吐露しています。









ストリートにはまつたく關係のない話、暗は「オタクは『好き』の力がすごい」という表現に出会うと、いつも强い反撥を覚えて居ました。

わたくしなどは、創造性のないアスペルガー症候群だからかもしれませんが、とにかく繪を一枚も描きたくありません。しかし、それはハマりこんだゲームの仕様に、まるでアンチのようにぶつくさ云い續けることと同様で、非常に樂しいということなのです。オタクの特徴は〈好き〉にあるのではなく、樂しさ、則ち探究心にあるのではないでしようか。繪が大嫌いでも、描けそうだから描くしかないのです。


前囘の記亊で、ロボツトが好きな變態が、イケメンを嘲笑するということの不毛さを書きました。イケメンと人外という価値だけでなく、アナログとデジタル、オリジナルと二次創作、原作とメデイアミツクス、歴史小説と史實など、みなだれかの物差しで自身を測つていて、樂しいかどうかという絶対価値を忘れています。